蓮沼

本当に久しぶりにポジフィルムに手を出した。
今年の夏は少し時間がとれたので,写真も少し撮ることができたのだが,
先日,朝早くから一人で県内の蓮沼として有名な場所に車を走らせる機会を作ることができた。
最初はデジタルで撮るつもりでいたのだが,そういえば冷蔵庫に随分眠らせているポジフィルムがあることを思い出した。
撮影・現像した後の処理をする時間も今年は何とかなりそうなので,久しぶりにα-7を使って見る気になった。
電池が心許なかったが,バッテリーグリップに単三電池を詰めればとりあえず何とかなるだろう。
フィルムは,ベルビア50。
5本保管していたが,5本とも一応持って行き,出来れば取り切ってしまうつもりだった。
もちろん,今後ベルビア50をいつまで手にすることが出来るのか不安もあったのだが,
せっかく得た久しぶりの機会なのでけちけちしないことにした。

前日の天気予報では曇り。まぁ,天気には勝てないので,どんよりとした中でもベルビアの持つ高彩度に期待をする。

思ったよりも寝過ごしてしまい,夜明けとともに撮ろうとした最初の作戦は失敗。
でも,天候はまずまず。
現場に到着したときには,まだ雲に太陽が隠れていたが,それでも,光はそこそこあり,花の色はまずまず。
何よりも,これだけ見事に一面に花が咲いていてくれることに感動してしまった。
久しぶりに撮るα-7。
ファインダーをのぞくと,自分が持っているデジタル一眼レフのファインダーがいかにしょぼいものかがよく分かる。
ピントの見栄具合,色の見え方,そうだよなぁ,コレガミタカッタノカモシレナイ・・・。
一枚シャッターを切ってみる。撮った現物をその場で確認することは出来ない。
その分露出にはかなり神経質になる。
ベルビア50も本当に久しぶりだ。
確か実際のISOは40ぐらい?少し暗めに写る?でも,ハイキーにするとベルビアの良さがでなかったはず。
ちゃんと撮れているか不安を感じる一方で,シャッターを切った瞬間にある不思議な手応え。
「撮れている」
何だろう,この自信は。
デジタルの時のあの不安げに見る液晶画面。
確認できることからくる,打ち砕かれる自信。

現像が上がってきたフィルムをライトボックスで確認するときの喜び。
そして,スキャンをする時間を待つ豊穣とした苦痛。
スキャン後の画像と,ライトボックスで見えるフィルムとの色違いの調整。

まだ,やっとスキャンが終わったところなので,色調整はこれからだけど,
試しに何枚か調整して出てきた画像とデジタルで撮った画像との比較。
確かにデジタルの方がざらざらとした粒状感もないなめらかな画像だし,エッジもシャープに見える。
でも,フィルムには不思議な色の世界が感じられるのはなぜだろう。
なぜ,この世界が自分がデジタルカメラで撮ったときには出てこないのだろう。
ポジフィルムをパソコンに取り込む際にはフィルムスキャナでCCDを通しているのだから,
デジタルカメラと比較すれば,ずっと色再現効率が悪いはずなのに。

4本のフィルムで140枚以上のデータがあり,色調整が山のようにあることにうれしい舌打ちをしながら,
一枚一枚ゆっくりと手を入れていこうと思う。
何枚かは,せっかくなのでプリントもしてみよう。
震災後は家の壁に写真を飾ることもしなかったけど,久しぶりに額装もしてみようか。

ほんのちょっとの心の余裕で,もう一度写真を楽しもうと思える自分を見つけた。

今度は二眼レフも久しぶりに日の当たる場所に連れ出すことにしようか。

Camera : MINOLTA α-7
Lens : MINOLTA 17-35mm F3.5 G
Film : FUJIFILM Velvia 50

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